3年前

3年前の今頃、
「たまにはピアノでも聴こうかな」と家にあるCDの中から何となく一枚を選んでかけました。

ピアノから遠ざかって数十年、家にピアノはないし外で弾く機会もなし。
ただ、クラシック音楽の中ではピアノが好きで(オーケストラとか全く聴かない)、いくつかCDは持っていて時々思い出したように聴いてみたり、たまに演奏家のコンサートに出向いたりはしていました。

そんな風に「たまに」聴いてみたピアノはベートヴェンのソナタ集。ブレンデルの演奏でした。

いつものように聞き流していたはずなのに、その日はなぜだか突然
「自分の手でこの曲を奏でてみたい!」
という思いが湧いてきました。

悲愴の第二楽章。

以前から知っていたし、何度も聴いたことがある曲です。いい曲だとは思っていたけれどそれまで特に強い思いを抱いたことはない曲。しかしその日は心の奥底にある何かに電波が届いたのか「なんて素晴らしくて深い音楽なんだろう」と感動しました。

「ドストエフスキーに睨まれたから」作家になったと埴谷雄高は言いましたが、
私は「ベートヴェンに誘われたから」ピアノを再開したのです。

とはいえ、弾けるかどうか全く不明。なんせピアノを習っていたお子ちゃま時代は30年も前の話。指が動くのかさえ自信がありません。

楽器屋で電子ピアノを弾いてみることすら怖くてできなかったので、ネットで調べてピアノ教室の無料体験レッスンを受けてみることにしました。

先生に事情を説明し、果たして私は今からでもピアノが弾けるものだろうかを探ってみることに。

一軒め。
体験レッスンで先生に出された教材は
童謡「大きな栗の木の下で」(下の画像はその時に実際に使った楽譜、赤字は先生の書き込み)とバイエル31番。
楽譜が読めるのか、両手で弾けるのかを確認するところからだったわけです。
幸い楽譜は読めましたし、一応両手で弾けました。

でも、バイエルと童謡という内容に大きく失望してしまいました。

他の体験レッスンにも行ってみました。
前回と同じ目にあわないように、今度は昔のブルグミュラーの楽譜を引っ張り出してきて持っていき、1番の素直な心を弾いてみました。
その時の先生に、「こんな現状ですがこれからレッスンを受けたら将来的にどこまで弾けるようになりますか」と質問したところ
「ショパンのノクターン(遺作)くらいなら弾けるようになるかもね、ま、曲にはならないだろうけど」というお答え。
その時は「弾けるけど曲にならない」という意味もよくわかりませんでしたが、ノクターンは別に弾きたいと思っていなかったし、よくわからないが悲愴は無理そうと解釈してガックリと肩を落として帰ってきました。

でもね。
一度会っただけの他人の言葉で自分の限界を決めるほど受動的な生き方をしている人ではないのですよ、私は(笑)。

この一件が後押しとなって電子ピアノを買い、とにかく1人で弾いてみることにしました。ブルグミュラー25や子供時代の記憶を頼りにラッパ手のセレナーデなどいろいろ。

そこから大人ピアノ人生が始まって今に至ります。

3年前満了の現状ですが、
  • ショパンノクターン遺作は多分弾けるし曲としてちゃんと仕上げられると思う(やってはないが)
  • 悲愴第二楽章も練習すれば弾けると思う(やってはいないが)。もっと他の曲を勉強して、超余裕で弾けるくらいになった時にしっかり時間をかけて仕上げたいと思っています。大切な曲だから。
  • 今は悲愴の第三楽章に取り組み中。十分手の届く範囲。
  • 再開当初に憧れの目標曲として掲げていたシューベルト即興曲90-2も手の届く範囲。無理ではない。
故・田所氏のピアノ教材研究会の数値(28段階の難易度評価)でいうと、18〜20付近が今の自分の勉強ゾーンのようです。ノクターン遺作(15)は弾けるでしょう。


3年前は五里霧中で全く見当もつかなかったけれど、
  • やればできる
  • やってみないとわからない
  • できると思えばできる
  • できないと思えばできない
  • とはいえ根性論だけでは結果が出ないので、出来得る限り体と心と頭を動かしてピアノに向き合う
再開当初、情報を求めて検索しまくりましたが、私の経験によりますと
ブルグミュラー止まりからの大人再開組(ブランク30年)でもピアノ(ちゃんとした曲)は弾けるようになりますね╰(*´︶`*)╯♡

人それぞれ、個人差はありますが、大人になって1から始めた人でも弾けるんですよね。
本人の意志と努力があれば、一般的に「絶対無理!」と言われるような壁も乗り越えられる‥
ということを、とある方の動画で教えてもらいました。
youtubeで ラカンパネラおやじ 
で検索してみてください。
(面識がないのでリンクは遠慮しておきます)
感動ものです。

可能性は無限です。
自分さえ諦めなければ。






楽しく続ける大人のピアノ

楽しみながら憧れの曲に近づいていくために