フィンランド文学〜四人の交差点〜
ヒルトネン、ハンニカイネン、キンヌネンet cetera…
この「なになにネン」(注:関西弁ではありません)という名前を見るとフィンランドぽいな〜と感じるのですが、このキンヌネン氏のデビュー作。
☆小説として
フィンランドの自然や食、歴史的流れなどを人々の暮らしを通して感じられる点も興味深いのですが、何と言っても「人の一生」と「心の内」を様々な角度から描かれていたのが秀逸でした。
3世代に渡る4人の主人公の一生なり半生が、それぞれ独立した章として展開されています。1つの章は時系列かつ断続的に話が進むのですが、本全体としては年代が入れ子になるので(マリアの1955年の後にラハヤの1911年の章があるなど)、読みながら前の章に戻って確認したり再読することも何度もありましたが、それが面白く味わい深い!
最後の最後まで読み終えた後で、プロローグを再読する仕組み(本にそういう指示はないけれど、読み終えた読者はみなそうするはず( *´艸`)で、そこでようやく全体像がつかめるのです。
何度も行きつ戻りつして読み終え、読み終えた後ももう一度本を開いて繋がりを見つけたり、主人公の言葉や行動の一片を理解したり納得したり…
こんな小説を読んだのは初めてで、新鮮でした。存分に楽しみました(^。^)
☆気持ち
今年は今までにない経験、初めて味わう気持ちも多々あり、個人的には激動の⁉︎1年でした(まど終わっていないが)。それもあってか、この小説を読みながら、深い悲しみや孤独に包まれるような、目に身に染みる〜ような感覚もあり。ズシーンと重石のように沈み込んでくるようなものもありました。暗さと深さとたくましさは同じところにあるのかもしれない。
0コメント