63年前の友
1954年(昭和29年)に翻訳されて日本で出版された本。
戦後10年も経たない時代に、音楽之友社からこんな本が出ていたなんて・・・
楽しみつつマスターできるピアノの技法
チャールス・クック著 堀内敬三訳
2017年始まってまだ1週間ですが、もしかするともう今年のヒット書籍No.1に出会ってしまったかもしれません。とても興味深く、面白く、楽しい本です。
このチャールス・クックさん、正真正銘のアマチュアピアニスト(趣味人)!
執筆時年齢36歳、ニューヨーク育ちのアメリカ人。
ピアノを弾くということは、私にとつて、妻の次にならぶ大きな喜びである。
と妻への配慮も欠かさないスキのない文章で「まえがき」をスタートしています(笑)。
(注:昭和29年なので、訳文「とって」が「とつて」となっているのも時代を感じさせます)
1954年、ブログもネットもない時代に素人が書籍出版?!というのも興味をひきますが、この方、職業は雑誌の記者とのことで、通りで文章が面白く読みやすいわけです。
私は、私の経験が、三つの大きいグループの成人の人々に対して考えと行動の糧とを与える様に希望する。三つのグループというのは、今迄ずつとピアノを弾いていた人でその演奏を向上拡大しようと望む人々、幼い頃ピアノを習つて中止したけれどまた新らしく続けたい人々、及び初めてピアノを弾こうという人々である。
「素人の素人による素人のための本」ですが、自身の経験から得た気付き・練習の工夫・私見が述べられているという点が私のこのサイトの主旨とも一致していて、妙に親近感がわきます。
ちなみにクックさんは「できない愚痴や言い訳」など書いていません。「どうすればできるようになるか」を追求しているので、5年前は手も足もでなかったスケルツォ1番(ショパン)を難なく弾けるようになったというツワモノ。1日1時間の練習を習慣とし、アマチュアとはいえ、演奏がラジオ放送(!)される機会もあったようで5曲ほど弾いたとか・・・(やるな)
内容的にもとても充実していて、古さを感じることがありません。ピアノの勉強は63年前も今も根本は変わらないものですね。
クックさんと会ったら会話が尽きなそう。
さすがにこの世ではもう会えないのではないかと思われますが、63年の時を超えてメッセージを受け取りました♪
面白かったので、少しずつこのサイトで紹介していこうと思います。
今日は目次だけ。目次だけ見ても、よくできていると思いませんか。
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まえがき
第一部「目指すところ」
一 アマチュアと音楽
二 ピアノ曲の階段を登る
三 最終の目標
第二部「辿る道」
一 必要なもの
二 練習は楽しい必要事
三 楽曲
A 楽曲を選ぶには
B 最も弱い部分を最も強い部分に変える
C 暗譜
D 暗譜の後ー保持
E 人の前で弾く事
F 「次には何を習おうか」
四 テクニック
A スケールとアルペジョ
B 特殊練習
五 初見演奏
六 名曲十種について
1.ショパン プレリュード 28-7
2.バッハ 平均律のプレリュード ハ長調
3.ベートーヴェン メヌエット ト長調
4.グリーグ ノクターン 54-4
5.ショパン マズルカ 68-2
6.リスト コンソレーション第三番
7.ドビュッシー デルフィの舞姫
8.メンデルスゾーン スケルツォ 16-2
9.ドビュッシー 月の光
10.ショパン ノクターン 15-2
附録一 複合リズムの問題の解き方
附録二 目録
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附録になっていますが、複合リズムの解き方はとても有益で、この方法で幻想即興曲の出だしに挑んでみようかと思っています。
今回はここまで。
たぶん、つづく。そのうち。気が向いたら。
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