曲のような物語

最近読んだ本です。

示唆に富んだ物語ですから、人によって受けとるものが違うと思いますが、私の感想は「まるで一つの曲のよう」です。

箴言集のようなそこだけ切り取ったストレートな言葉とはまた違って、一つの物語の中でところどころに深みのある言葉が出てくるのが味わい深い。
原作が優れているのか、翻訳がよほど上手いのか、それともその両方なのか、力のある言葉たちも心地よい音楽のように入ってきます。物語の流れの中で出てくる示唆的な言葉たちは、その場に存在することに何ら違和感がなく、言葉単体で存在する時よりも美しさを増して… 

音楽と同じですね。
それぞれのフレーズの中にそれぞれ向かっていく山場(重みのポイント)があって、そんな美しいフレーズ達が集まって全体を構成している。

今練習している悲愴三楽章も、私にとって「シビレる」ファ〜!!(意味不明?!(^^;)があるのですが、ファ〜だけ単体で唐突に弾いても「ハァ?Σ(・□・;)」となるわけで、そのフレーズのくだりがあっての山場のファ〜!(ここにたどり着きたかったー!)だからシビレるわけです。

あらゆるものに通ずる普遍の原理ってあるもんだなぁ。
この著者の他の本も読んでみたくなりました。

楽しく続ける大人のピアノ

楽しみながら憧れの曲に近づいていくために